古民家の新たな役割
愛知県豊田市では、築100年以上の古民家を再生し、地域の交流や観光資源として活用する動きが広がっています。 桜町本通りの町家造りの建物や、山間地・旭地区の宿泊施設、さらには大林町の「花遊庭」に見られるゲストハウス増設など、都市部と農村部の双方でリフォームの取り組みが展開されています。
町家を複合施設に(桜町本通り)
豊田まちづくり会社は、1917年(大正6年)に建てられた「丸定呉服店」の蔵と茶室をリノベーションし、飲食店や物販、交流の場として再生しました。 瓦ぶきの蔵をカフェ、平屋の茶室をチャレンジショップやレンタルスペースとして整備し、若い世代が集まる拠点づくりを進めています。 かつての街の面影を残す建物が、商店街活性化の核となっています。
田舎暮らしを体験できる宿泊施設(旭地区・太田町)
山あいの集落・旭地区では、築100年以上の古民家を改修した「お試し居住の館」が整備されました。 8畳和室6室や台所、浴室、水洗トイレを備え、最短2日から4週間まで滞在することができます。 都市部からの移住希望者が田舎暮らしを体験できる施設として利用されています。 地域住民との交流や伝統祭りの参加も奨励され、移住後のギャップを防ぐ取り組みにもなっています。
庭園と古民家の融合(大林町・花遊庭)
造園会社が運営する「花遊庭」は、ガーデニングミュージアムとして親しまれてきました。 2008年にはゲストハウスを増設し、結婚式や食事だけでなく宿泊や観光拠点としても機能しています。 アンティークな石材を使ったイングリッシュホワイトガーデンなど、テーマ性の高い庭園空間が訪れる人を魅了しています。
地域資源としての古民家
豊田市の古民家リフォームは、商店街活性化から移住促進、観光振興まで幅広い役割を果たしています。 街の記憶を残す町家や、山里の暮らしを伝える宿泊施設、庭園文化と調和するゲストハウスなど、それぞれの場所で多彩な活用が進んでいます。 これらの取り組みは、豊田市が歴史と現代をつなぐ新しい交流のまちづくりを目指している象徴でもあります。